整体操法の基本は超難しい
基本というのは、何の世界でも初期に習う事だと思いますが、整体においては基本の難易度が高過ぎる。初心者の段階では、ハッキリ言って全く分からない。
だから当整体スクールでも、あまり教えてきませんでした。
しかし最近の生徒さん方の様子を観ていると、やれるのではないか?と思い、昨日・一昨日と指導してみました。
当然ながらすぐには出来ない。
何度も繰り返し練習する事になるでしょうが、とりあえず簡易式を教えてみました。
やはり苦戦しておりましたが、なんとか物にして欲しいですね。
中毒操法
基本形第一号に制定されている操法。これだけでも、かなり幅広い方に対応できます。
しかしこれを習得するだけでも、かなりの修練を要しますから、レベル的には中級くらい有ると思います。
中毒と言っても多様で、食中毒ももちろん中毒ですが、自家中毒というのがありまして、主にそれに使うかと。
一般的にデトックスと呼ばれている事は、この技術だけで良いかもしれません。
整体では、胸椎4番と9番の状態が同等の時に中毒だとしています。
まずそれを観るのが初心者には困難。
その後、それぞれに対応する部位を観る事になるのですが、またそれが難しい。凡庸性の高さから、基本と言えるのでしょうが、現代人の感覚からすれば、基本らしくない。
最近生徒に指導したのが、この技術です。
出来た時、かなり嬉しいと思うので頑張って欲しい。
自律神経操法
基本形第二号。昨日妻に教えた技術です。
間違って使うと危険な技術でもあります。
交感神経と副交感神経の調整を行うのだから、逆にしてしまったら大変。
症状は悪化します。
「整体は観察が8割」と言いますけど、本当にそうです。
そこを間違えては、お話にならない。
しかしその観察こそが難しい。
分からない間はしない方がいいでしょう。
使うのは頚椎と胸椎。
首は他に比べて特にデリケートですから、この技術でなくとも、慎重に扱わなくてはいけません。
カイロプラクティックの様に、バキボキっと鳴らさないのも、これが理由。
もちろん野口晴哉くらいのレベルなら、そうやってもいいと思いますが。
普通はやらない方がいい。
前も書きましたが、そういうのは「これをやらねば命が危ない」という時だけ。そうそう有る訳じゃ無い。
副腎操法
以前ちょっと紹介しました、梶間良太郎という先生が発見した技術。非常に特殊な操法で、よくこんなものを発見したものだと、不思議に思います。
野口晴哉が言うには、発見者の梶間良太郎自身が一番副腎操法を必要としている人間だそうです。
使うのは胸椎。
基本形第三号に制定されている技術。
難易度は・・・・・・本式でちゃんと出来る人は一握りでしょう。それ程に難しい。
簡易式でも十分な成果が出ますけど、それですら少々難しい。
生徒にも簡易式を指導しております。
ちゃんと出来れば、これは何とも面白い効果を示す操法です。
私が担当する様な方には、副腎操法が必要な方は多い。
整体10年
こういう言葉があります。整体というのは、10年修行して、ようやく「あ、整体ってこういう事だ」という感覚が掴める。
私が今年で13年。
最近になってようやく分かって来た事も多いです。
感覚は年々というより、日々変わってきていて、そういう変化を感じるのも楽しい。
技術を習得するだけでは、整体の本質は理解できない。
整体の本質は体育であり、教養であって、治療術では無いですから。
その意味が分かるのにも、実は時間がかかるかと思います。
「技術だけでいい」
と思われる方が多い様ですが、それではその技術の本当の効果も出ないでしょう。
奥が深いのです。
もちろん年数だけ重ねても何の意味もありません。
数だけこなしても同じ。
50年やっても、初心者のまま終わる人も多いのだろうと思います。
まとめ
今回は基本操法を3つ紹介してみました。ここまでで正直十分な気もします。
そして紹介してみたものの、本当ならばこれらの技術は整体師の「たしなみ」であって、やたらに使うべきではありません。
技術というのは全て、なるべく使わずにおくのが理想。
伝家の宝刀という言葉がありますが、まさにそんな感じ。しかし時々抜かねば錆び付きますから、使い所の見極めが重要でしょう。
整体は日本古来のものですから、やはり古武術と似た所があって、傍目に見ても何をしているのか分からない。
分かられる様では下手なのです。
現代人でも分かりやすい例を挙げるなら、合気道がそうです。あれも初心の間は見た目にも「アレをこうして投げているな」というのが分かる。
それを段々簡素化していって、最終的には「えっ?今何をしたの?何故か相手が宙を待っている」という風になる訳です。
整体と共通しているなと思います。
受けた後でさえ、結局何をどうされたのか、イマイチ分からない。分からないのに体は変化する。
ですから上手にやり過ぎると、それこそ何もしなかった様に見えるでしょうし、何もしない事こそが治療の理想型なのです。
そういう事についても、またの機会に少し詳しく説明したいと思います。
基本形と言えども、整体はいつでも「真剣勝負」ですから、見せびらかす様ではいけません。たしなみです。