反動を使うな!は間違っている
筋トレの世界で良く言われる「反動を使うな!」という指導。私はこれに否定的です。ボディービルの様な競技では話は別でしょうけど、スポーツのために鍛えるならば、「反動でも何でも、使えるものは全部使うべき」だと考えています。
多くの方が、分かっているはずなのに、それでもやっぱり陥ってしまう罠。
筋トレをするのは何のためか?競技力を向上させるためです。
まだ腹筋が足りない気がするとか、ここにもうちょっと筋力があればとか、色々思って始めるはず。
だけで実際に筋トレを始めると、それ自体が目的に変わっていく。それは変ですよね?と言われると、あ~確かに。そういつも思うのに、次にトレーニングを始めた時も筋トレが目的になっていく。
何か中毒の様な状態。
そもそも私は筋トレというのが、ちょっと違うのでは無いか?と思っています。
トレーニングの結果として筋力がアップする分にはいいけれど、筋力アップ自体を目的にトレーニングするというのは、だから目的がすり替わっていくのだと思うのです。
目的はいつでも競技力の向上だから、もう筋トレなんて考えない方がいい。
回数を目標にしてはいけない
腹筋を鍛えているとしましょう。一般的な上体起こしでイメージして下さい。これを指導すると、大体聞かれるのが「何回やればいいですか?」という質問。いや、何回とか決める必要すらありません。ベストが出る様にやればいい。それが3回続けられればOKでしょう。例えばですけどね。
何回やろう、と考えると、またそれが目標になってしまう。
そんなはず無いのです。スポーツの場合、例えばテニスだったとしましょう。試合中にラリーを何回続ける、そんな目標はありませんね。なるべく1回で決めたいはずです。
筋トレだって同じで、1回目にベストが出せる様に練習し、それを連続して何回でも思い通りに出来る様にする。それが練習だと思います。
数だけこなしても、それは虚しいだけ。間違った使い方を癖付けていると言ってもいいでしょう。
速いも遅いも両方やる
スポーツの動きには、速い動きも遅い動きも両方ありますね。速い動きしかない、という事は無いはずです。短距離走だって、走りだしは遅い。全力で速く動こうとはしてますが、速くは無い。
だから遅い動きもやっておくといいのです。
また、遅い動きというのは自分の弱点を知るにも有用。ゆっくり動きたいのに速くなってしまう。そのポイントが弱い部分。
精神的に弱い部分でもあります。だから我慢できない。
メンタルトレーニングにもなるでしょう。
なので太極拳なんて結構面白い。
そんな太極拳の様に極限にゆっくり動いておいて、急にマックススピードに上げる。その切替が如何に速く行えるか?
筋肉の質って、結局そこなんですよね。切替速度の速さと、筋が縮んだ時と緩んだ時の差。それが弾力を生む訳で、盛々に太くなった筋肉がスポーツで使える訳じゃない。最低限はありますけど。
速度変化
技の話で言えば、「遅く見えるのに速い」。これが良いかと。自然とフェイントになりますし。
相手には遅く見えているから対応できない。技と言っても、別にスポーツにも十分に通用する。速く見えて実際速い、というのは随分突き抜けないと通用しない。それは恵まれた体を持っていないと無理が有る。
サッカーのシュートで、全力で助走を付けて蹴るとします。当然速いボールが蹴れるでしょう。
しかしそれは当たり前と言えば当たり前。
ならばゆっくり歩いてきて、もしくは静止状態から同じくらい速いボールが蹴れる方がいい。理想としては。
そうなるためにどうしたらいいか?それを考え練習する。常識を覆す様な体の使い方が求められるでしょうね。
具体的なトレーニング例
その競技毎に求められる能力が違いますから、ある程度共通して使えるトレーニングを紹介します。①ちょっと広めのスタンスで立つ。肩幅よりやや広いくらい。
②ゆっくりスクワットする。
③次はなるべく速くスクワットする。
(上述した様に、回数は考えずに毎回ベストが出せる様に意識してみて下さい)
はい、③の時に本当に速くできましたか?本当に?
たぶん私が求めた速さからすれば、かなり遅かった人が多いと思います。
スクワットと言われて、しかも一度本当にいつも通りのスクワットをやらされて、また筋トレの頭になってしまった人が結構いると思うのです。
実際私が指導する現場でも、こうなってしまう人が9割は居ます。
私が求めた速さを出すためには、必ず「脱力」が必要なのです。どうでしょう?脱力しましたか?
単純に説明しますと、しゃがむ瞬間には力が入っていてはいけない。間をすっ飛ばす様でなければ全然遅い。
瞬時にしゃがむ、瞬時に立ち上がる。
この繰り返しを求めています。
ですから②の時のスクワットとは、見た感じから全然異なる物になっていないといけない。
まとめ
たぶんですけど、合気道の考え方も同じ様な感じかと。最初は誰にでも分かる様な動き。「あ~、ああやって投げているのか」と。それが達人レベルになるにつれ、どうやって投げたか見ても分からない。
これは間の簡略だと思うのです。余分な部分を削ぎ落とす作業。
これをスポーツの練習だと、練習の結果として得られるのは、練習した動きがより精確になったり速くなるだけ。
合気道の様な、見るからに違う動きへと変貌する事は稀。
練習の工夫の違いかと。科学的トレーニングの弊害とも言えます。 簡単に単純にレベルアップするには適している科学トレーニングですが、劇的な変化というのは起こし難い。
才能有る選手ならいいけれど、そうでない一般的な選手にはそんなトレーニングでは不足。
そういう人は、こんな事を試すといいかと思います。
これは私が考案した、スポーツ整体というものの考え方です。
体の調整というのは、疲れを癒やしたりケガを治したりするばかりじゃないのです。より理想的な動きが出来る様に調整する。それがスポーツ整体ですから。
こういう事を学びたい、指導出来る様になりたい、という方は当院はスクールもやってますのでどうぞ。